秋田魁新報社が報じたニュースによりますと、
金足農業が夏の高校野球で快進撃を続け、準優勝したことに対して、秋田県の内外から激励や称賛の電報、メール、手紙が届いているようです。
決勝から一夜明けた22日、秋田県内では「金足農フィーバー」の余韻が続いた。街中には「祝準優勝」の看板や垂れ幕があちこちに掲げられ、同校には甲子園での快進撃に心を動かされたという数多くのファンが、県内外から足を運んだ。同校によると、17日の3回戦で横浜(南神奈川)に逆転勝ちしてからは、22日までに千件を超える激励や称賛の電報、メール、手紙が届いている。
今回、公立高校である金足農業高校が甲子園で準優勝したことで、多くの人に感動を与えたようですが、そのポイントは、
- 公立高校である
- 農業高校である
の2点であると思います。
まず、公立高校がここまで勝ち上がったことについて、
スポーツで全国レベルまで勝ち上がるような高校は、全国から選手が集まったり集められたりするような私立高校であることが一般的です。入試も推薦入試だったり優秀な生徒は学費免除、奨学金が出たりもしています。公立高校は、基本地元の中学生が試験を受けて入学するわけですから、選手層も薄くなりますし、才能を持った選手が必ずしもいるわけではありません。
そんな中、公立高校が高校野球で甲子園で準優勝の成績を収めたわけですから、かなりまれなケースであると思います。
そしてもう一つ農業高校だったことについて。
農業高校は現在減少しています。少子化の影響で高校自体も減少していますが、その減少率以上に減少しています。日本の産業で農業の割合が減少していますから、農業を勉強する生徒の数が減っていくのも仕方がないことではありますが、それでも少なくなっていく農業高校の方々からすると寂しさを感じていたのでしょう。そんな中で農業高校が高校野球で準優勝したのですから、農業高校の関係者からしますと大変勇気づけられた結果だったのではないかと思います。
ちなみに、日本の農業高校の数と生徒の数はWikipediaによりますと、
全国農業高等学校長協会の加盟校は、1959年度(昭和34年度)に541校で最多となったが、2018年度(平成30年度)には367校にまで減少した[2](ピーク比:32.2%減)。また、かつて加盟校の生徒数は全国で20万人以上いたが、2018年度(平成30年度)は88,650人とピーク比で約6割減少した。すなわち、加盟校数より生徒数の減少速度の方が大きい状況にある。
参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1
とのことです。
また、日本の高等学校の数は、2009年度(平成21年度)と2018年度(平成30年度)を比較すると、
平成21年度 | 平成30年度 | |
総学校数 | 5,183 | 4,897 |
国立 | 16 | 15 |
公立 | 3,846 | 3,559 |
私立 | 1,321 | 1,323 |
私立の割合(%) | 25.5 | 27 |
となっており、9年で 5.5% 減少しています。
高校の減少率に比較して、農業高校が減っていることがわかります。単純になくなるのではなく、普通科の高校と合併したりして普通高校になるケースが多いようです。
ところで、高校全体の数について興味深いのは、私立高校が減少するのではなく微増しているところ。これからの少子化に際して私立高校の経営などどうなっているのか少し気になりました。
農業高校が農業を行うのが基本ではありますが、仕事としては農林水産業、畜産業の他に、食品メーカー、化学メーカー、繊維メーカーなども多数あるようで、その専門知識は現在そしてこれからの日本の産業に深く関わってくるものであると思います。
”農業”高校という名前を少し変えるとイメージも変わるのではないかと思われました。
そういえば、秋田といえば、秋田大学という国立大学があり、工学系の学部に鉱山学部というのがあったのを思い出しました。秋田県に鉱山が多数あったので、1965年(昭和40年)に名付けられたとか。
その後、鉱工業の衰退とともに鉱山学部の人気も大きく下がり、鉱山学部は1998年(平成10年)に工学資源学部に、2014年(平成26年)に理工学部になったようです。
大学入試のときに高校の先生から、秋田大学鉱山学部を勧められ、引いていたら、「鉱山学部といっても、内容は工学部と一緒だぞ。名前だけだ。」という話を聞いたことがあります。
この例のように、ネーミングっていうのは重要なので、農業高校→生命環境高校 などと変えたらまたイメージも変わるのかもしれません。中でやってることは同じでも。
それはさておき、
今回、金足農業高校に激励や称賛を伝えるのに、電報が使われていました。
このように学校やチームなどの団体に対しても電報でメッセージを伝えることができます。手紙だと、どんな用紙で書いたらいいのか、文面はどうしたらいいのか(拝啓、敬具と書くのかとか)、いろいろ悩むところも多いかもしれませんが、電報であれば、シンプルに伝えたいことを短文で伝えられますし、例文も数多く用意されています。
もらった方も、台紙を開けばメッセージを見ることができる電報は、短文メッセージがすぐに伝わりますので、うれしい贈り物になるのではないでしょうか。
日本の文化に根付いた電報、これからもさまざまな場面で活用していきたいですね。